いまの仕事をはじめてから2年弱が経ちます。
それまでオフィス勤めが長かったわたしにとって、工場は未知の世界であり、入社した頃は戸惑うことがたくさんありました。
一日中の立ち仕事はもちろん、
段ボールを使う作業も初めてのことで、最初は嫌で嫌で仕方がなかった。
「足も手も肩も痛いし、なんでこんな仕事してるんだろう?」
正社員で働きたいと思えるところを見つけるまで、とりあえず派遣でいまの仕事をはじめたわけですが、入社早々こんなことを毎日思ってました。
それでもこれまで続けてこられたのは、職場の人たちがよく気にかけてくれ、人間関係に悩むことが少なかったから。
同じチームの人だけではなく、周りの人たちもわりといい人が多い。
(とはいえ、わたしは極端な人見知りなので打ち解けるまでに結構な時間がかかりました)
そんな中でもひときわ、仕事のできるやさしい男の子がいました。
例えば、
わたしが誤って機械を止めてしまったとき、困っていると、すぐに駆けつけてくれました。
製品を運ぶ人がいなくて誰か呼ぼうかと悩んでいると、声を掛けてくれて一緒に運んでくれました。
探し物をしていると先に見つけて届けてくれることもありました。
同じチームじゃないのにたくさん助けてもらった。
わたしにだけではなく、これらのことを周りのすべての人にやっているような男の子でした。
そんな彼ですが、悲しいことに工場を去ることが分かりました。
会社からは「派遣から直雇用に切り替えないか?」と何度も誘われていたのに一体なぜだろう?
本人が決めたことだから仕方がありませんが、周りの人たちは(わたしも含め)ものすごく残念がっていました。
退職日までの数日間、
どうしてもお礼が伝えたくて何度もチャンスを伺いましたが、なかなか機会を見つけられず、、そして彼の最終出勤日にも声をかけられず、、渋々帰ることに。
工場から駐車場まで歩いていると、後ろから
「短い間でしたがありがとうございました。」
と声が聞こえてきました。
振り返ると“彼”がいるではありませんか!
「こちらこそありがとうございました。本当にお世話になりました。」
とお礼を伝えつつ、気になっていた転職理由について聞いてみると、
「ここにいてもいいんだけど、どうしても他の世界が見てみたくて…」
とのこと。
これはすごくわかる気がする。
わたしも元々公務員をしていましたが、どうしても他の世界に飛び出してみたい!
このままこの世界しか知らないまま人生を終わらせるのは嫌だ!
と思い転職した一人です。
今となっては安月給だから転職してよかったか?と聞かれると、経済的にはNOですが・・・(笑)
彼には
「いいと思う!納得できる仕事が見つかるといいですね!」
と伝え、別れました。
気遣い上手で、
何度も助けてくれた。
そして、常に笑顔を絶やさなかった。
こんな素敵な人だからきっと、次の世界に行っても上手くやっていけるだろう。
僅かな言葉でしかお礼を伝えられなかったので、偉人の言葉を借りてもう一度彼にエールをおくりたいと思う。
「世界には、きみ以外には
誰も歩むことのできない唯一の道がある。
その道はどこに行き着くのか、
と問うてはならない。
ひたすら進め。」
がんばれ!!
おわり